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ただひたすらに日常感じる匂いを綴る件

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こんにちは、梢です。

現在諸事情でブログを書く環境が不十分なため、3000文字フレグランス、不参加にしようかと思ったのですが、なんとかこうして形にすることができました。あ…別に無理して書いているわけではないのです。

毎日暮らしている中で頭の片隅にある、3000文字チャレンジ。こぼりさんを始め、この3000文字に携わる皆さんのおかげで、私が私を表現出来ていると思っていて。本当に私にとって大切な場所なのです。なので、たとえスマホ入力であっても「書きたい!」と、自分の中の何かがただひたすらに書く衝動を突き動かしているのです。

お題は『フレグランス』ですが、そんな上品な香りではないものも文章にしていこうと思っています。私の身の回りにあった、嗅覚を研ぎ澄ませて感じていた匂い達。そこにあった、自分の暮らしていた日常を表現したくて。

 

これは、嗅覚から綴る、私の日常。

 

朝、お布団の中。私の隣で眠る、可愛い宝物の娘達。ぎゅっと抱きしめたまま、頭をそっとクンクンしてみる。ごくわずかに感じるか感じないかというくらいのほのかなシャンプーの匂い。パジャマの上に着ているスリーパーからはかすかな柔軟剤の香り。温かい体温とふわふわの感触も相まって、このままずっとこうしていたい気持ちになるのです。

でも、そうやって二度寝しては毎朝焦る事になるのですが。

 

若干焦り気味で起きても、朝のコーヒーだけは欠かせません。コーヒーメーカーをセットし、スイッチを入れる。ドリップ中の香りを胸いっぱい吸いながら、Twitterの通知をチラ見しつつ、慌ててお弁当の準備を始めるのです。

朝は香りが渋滞しています。コーヒーの次は炊飯器から立ちこめる炊きたてご飯の匂い、そしてフライパンからは油っぽい匂い。卵焼きを作ったり、ウィンナーを焼いたり。それと平行作業で、間もなくオーブントースターが活動を始めます。息子達の食べるチーズトーストの、こんがり焦げ目の匂い。

香りの渋滞は、朝の支度の渋滞でもあります。バタバタとそれぞれがせわしなく動きまわり、そして子供達がひとり、またひとりと出発し、それとともに香りもいったん落ち着くのです。そうすると、今度は私の支度になります。歯磨き粉のミントの香り、洗顔料のフローラル系の香り。朝のドタバタを爽やかな香り達でさっぱりと洗い流し、気分もスッキリしてから娘達を幼稚園に送る準備をするのです。

玄関を開け、外の空気を吸ってみる。…ここはそこそこの都会なので、爽やかでも澄んだ空気でもなく、どちらかと言えば無味無臭な空気。娘達を自転車に乗せ、出発します。

 

私の住んでいる場所は、町工場と住宅地の混在する、雑多な町です。自転車でしばらく進めば町工場の裏を通ります。タイミングによっては科学薬品のような匂いが流れてきます。なるべく吸わないようにやり過ごしながら進みます。

その町工場の裏を通り過ぎると、とあるオフィスの横を通ります。コーヒーの香りがしてきます。道路を挟んだその反対側には、超有名なとあるお菓子工場があります。時間帯によってはビスケットやチョコレートのような、甘い匂いが流れてくるのです。

コーヒーと甘いお菓子。自転車で通り過ぎるだけで、コーヒーブレイクをした気分になってしまうほど。この空間はちょっと心地よいのです。

さらに進めば、コインランドリーの横を通ります。時々、乾燥機の匂いがしてきます。高温の温風で洗濯物を乾かしている、あの特有の匂い、なんとなく好きで。

 

幼稚園に子供を送ったあと。近くのスーパーからは店内で焼いているパンの香ばしくほんのり甘い香りが立ち込めます。誘われそうになりつつも、9時開店を待って特売の商品を目指すのです。

幼稚園が午前保育の日は、お迎えに行くと隣の小学校から、給食を作る匂いがします。あぁ、お腹空いたなぁ…。え、娘達まだ遊んでから帰るの?みたいな。

 

それ以外にも、この町はあちこちで個性のある匂いがしてきます。

貸しおしぼり工場の、強い塩素の匂い。

仕出し工場の、これでもかというほどの揚げ物の匂い。

小さな印刷会社もあります。うず高く積み重ねられた新品の紙の山と、独特のインクの匂い。同人誌即売会でバイトしてた頃を思い出す、懐かしい匂い。

歯磨き粉工場もあります。近くを通るだけで、目が冴えそうなほどの、強いミントの香り。

かかりつけの町医者の横には、焼き海苔の小さな工場があります。ひたすら香ばしい海苔の香り。

そしてかかりつけの耳鼻科の斜め向かいには、キャベツ焼きのお店があります。診察までの待ち時間が長く、疲れた時にふんわりと鼻に入るソースの香ばしい香りは、それはもう格別で、誘惑に負け買って帰ることもあります。

子供達の通うスイミングスクールでは、貸しおしぼり工場とは違う、ぼんやりとした塩素の匂い。帰り道の府道は、車の排気ガスや埃っぽい匂い。

 

最寄り駅の駅前。

駅前ならではの小さな飲食店が数多くあり、それぞれがそれぞれの主張をするべく匂いを出しています。換気扇から立ちのぼる、年季の入った厨房ならではの匂いも。

 

駅前から商店街へと進む道。

その途中にはカレー専門店があります。食欲をそそる、シャキッとしたスパイスの匂い。

商店街の入り口には、パチンコ屋が。自動ドアが開くたび、パチンコ玉ならではの鉄っぽい匂いが、店内の爆音とともに商店街へと流れこんできます。

パチンコ屋の音が遠ざかる頃、マクドナルドの横を通ります。お馴染みのポテトやナゲットのような匂いを思いっきり吸い込み、思わず入ってしまいたくなる気持ちを抑えながら、さらに進みます。

その先からは、ちょっ濃い匂いがやってきます。ホルモン焼きのお店があるのです。対面式で、串に刺さった焼き鳥のようなホルモン焼きが、タレの少し焦げる匂いを身にまとい、通りがかる人の鼻を誘っていきます。 

 その先には、新しく出来たコロッケ屋さん。早くも評判が良く、ママ知り合いの中では人気店になっています。かわいい外装に似合った、揚げ物屋なのに控えめな匂い。

さらに進むと、昔ながらの和菓子屋さん。蒸したもち米の匂い。

商店街の終わりの角には、たこ焼き屋さん。熱された鉄板と油の匂い、生地の焼けるチリチリという音。もう、それだけで脳内にたこ焼きの味がムクムクとわいてくるのです。

 

この町に住み始めて約15年。

私の中にある、この町の記憶。

自分の五感全てで記憶していると言っても過言ではない、住み慣れたこの町。

目をつぶっていても、鮮やかに映し出され、色も匂いも再現出来るほど。

視覚だけではなく、嗅覚とともに深く深く刻み込まれています。

気がつけば、この町が好きになっていました。

都会ほどあか抜けず、かと言って不便でもなく。なんとなく、ちょうど良い感じで。

住んでいる人も人情味があって。

第2の故郷として、気に入っていました。

 

来月、この町にお別れを告げます。

それがなんだかとっても寂しくて。色々な方との素敵な出会いがあり、この町のために役立ちたいと思い始めていた矢先だったのに、不本意ながらそれは叶わなくなってしまいました。

この町でずっと繰り返し繰り返し感じていた、五感で記憶していたもの。

この町を離れて忘れてしまう前に、何かの形として残しておきたくて。

記憶の棚おろしのような気持ちで書きました。

第2の故郷でもあり、私に第2の成長をさせてくれたこの町。

本当にありがとうと伝えたい。これからも、今のままのような温かい町であって欲しいな、と思っています。

そんな、匂いにまつわるお話でした。

今回も読んでくださいまして、本当にありがとうございました。