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オトナへと駆け上る小娘と、ウィスキーのお話

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ウィスキーの思い出。それは、マチ子さんのこの記事を見てふと思い出しました。

何のとりとめのない、ただの思い出話。

 

machikono-kokoro.hatenablog.com

 

ウィスキーを初めて飲んだのは、片田舎の場末のスナックだった。

その頃私は二十歳をちょっと超えたくらい。ようやく酎ハイだのビールだのが多少飲めるようになってきた、まだまだ尻の青い小娘。会社の上司に連れられ、はしご酒の上にたどり着いたスナックで、「ウィスキー、大丈夫?」と年配のママに聞かれた時はただただ戸惑うばかりだった。私にとってウィスキー=アルコール度数高いという固定概念があったためだ。「薄く作ってあげるわね。」と言われ、差し出された水割りに口をつける。モルトの香りはするものの、味はほとんど無い。私は無言でゆっくりと飲み進める。「あら、大丈夫そうね。次はもう少し濃いめでもいけるかしら?」私は返答に困り、愛想笑いで繕う。無理はない。そもそも、今夜の状況が全く自分の頭の中で整理できていなかったのだ。

 

その日はそう、仕事で大失敗をした日だったのだ。入社してだいぶ経ち、そこそこ自分に自信がつき始めたところでの失敗。中途半端に伸びた鼻を完膚なきまでにへし折られ、尻拭いも出来ない下っ端な自分の立場にも嫌気がさして。退社の時もその気持ちは引きずったままだった。

「お先に失礼します、お疲れ様でした…。」とぼそぼそ言って帰ろうとする私を上司は呼び止めた。

「まあ、ちょっとついておいでや。」言われるがままついていったら、そこは居酒屋だった。

怒ったこと、へこんだ顔してたの、気にしててくれたのかな…。社会人になって、何度か歓送迎会的なものには出席したことはあったが、今回の飲み相手は、上司とそこに偶然居合わせた知り合い、皆私の親ぐらいの世代の上役の方々ばかり。ましてや私は今よりも更に気の利いたことも言えない小娘。何を話したのかも全く思い出せないが、気を遣ってもらい、ただ楽しませてもらう側だった気がする。確かに年齢区分では当時私も大人だったわけだが、本物のオトナというものを思い知らされたような気がした。

そしてスナックへ。薄めのウィスキーは口当たりがよく、盛り上がる話をただ相槌を打ちながら聞いてきた気がする。自分の計り知れない、はるか上の世界。

帰りはタクシーを呼んでもらい、とある取引先の上役の方と帰る方向が同じだったので相乗りした。先にその方は降りたのだが、「これを渡したらいいから。」とタクシーチケットを受け取った。…初めて見る、タクシーチケット。言葉通り自宅までタクシーに乗り、チケットを渡した。

…小娘が体験した、夢幻のような世界。しばらくは狐につままれたような気分だった。

そんなウィスキーの思い出。

 

今、ウィスキーを飲もうと思えば、必然的に缶のハイボールになるだろう。時々飲んでいたが、キリっと引き締まったウィスキーの味に炭酸は非常にマッチしていて。安易に飲み進めるとあっという間に酔いつぶれてしまう。割高だからと瓶のウィスキーを買おうとしたが、悩み抜いた末に辞めた。マチ子さん同様、そのうち割るのが面倒になり、ほぼロックで飲んでしまうだろうと思ったからだ。25度の芋焼酎さえ、最後は似たような飲み方をしていたので、今は買うのをやめている。

常に頭につきまとう、或ることについての漠然とした不安は消えない。何か飲まないと眠れないのかもしれないと言う不安を常に抱えつつ、葛藤を繰り返している。このままずっとなのかと思うと自分でも嫌になる。こんな飲みかた、やめてしまいたいのにね。

 

あの時の小娘はあれから随分と歳を取り、酸いも甘いも、人生の色々なことを経験してしまった。オトナゆえのずるさも手に入れてしまった。それもまた、年月を積み重ねて味わいを深めるウィスキーみたいかな、はたまたワインかな、なんてわが身をあざ笑う。

 

ふと、昔好きだった人の事を思い出す。ジャズが好きな、年上の人。ジャズなんて全然聞いたことなかったけど、その人がジャズを聞きながらリズムをとる、その横に寄り添っているだけでよかった、そんな甘い記憶。

ジャズのリズムが心の隙間を埋めてくれるような気がして。

今夜は無茶飲みしないで済みそうだ。ジャズを聞きながらワインを嗜み、少しゆったりした気分に浸りつつ、眠りにつこうと思う。