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私の唯一無二の場所。

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 3000文字チャレンジ、今回のお題は「好きな場所」。

一瞬、舞い戻ったわがふるさと、下関の話でもしようかと思ったのですが。

本気で好きな場所なんで、それでも充分語りつくせるとも思ったのですが。何なら下関の名所を交えつつ、妄想恋愛シリーズなんてどうかしら、なんて・・・・あれあれあれ???この間やったばっかりじゃないですか!なのでこの企画は没です。

 

…でね。本気で私の好きな場所をご紹介することにしました。

私の唯一無二の好きな場所、それは「車の中」。

始まりは、10歳の頃だっただろうか。我が家に初めてマイカーがやって来た日。…と言うのも私の父は船乗りで長い事家を留守にする人だし、母も運転免許証は持っていなかったので、車を所持しても放置になってしまうから無かったのです。しかし、勤務形態が変化を迎えた当時、40過ぎにして初めて運転免許を取得し、マイカーを買う事になったのです。初めてうちにやって来た車は、白の三菱ランサー(中古車)。まだまだセダンがスタンダードだったあの頃。私は子供心ながらに胸を躍らせた。そもそも、私は極度の車酔い体質だったのに、それでも楽しみで楽しみで仕方なかった。何度も何度も自宅の庭に止まっているマイカーを見に行った。キーを貸してもらい、中に入る。昔のセダンなので、シートも今ほどふわふわではない。でも、何度も何度も座ってみた。後部座席の背もたれを開けると、トランクに通じるようになっていた。後部座席からトランクへ忍び込む。背もたれをギリギリまで閉じ、真っ暗な空間に浸る。その頃、子供のくせに2時間物の火曜サスペンス劇場なんて見てたせいか、「あぁ、よく誘拐とかされてトランクに閉じ込められるって言うけど、こんな感じなのかなぁ…。」なんて考える、非常に奇妙な子供でありました。そのまま、どれだけの時間を過ごしただろうか…。そのまま寝てもいいかなって思うくらい気に入っていたのだけれど、今となっては無理ですね。閉所&暗所恐怖症になってしまったので。

イカーのおかげで、極度の車酔いは幾分か軽減されてきました。なんとか自家用車なら酔わずにいられるほど。バスは相変わらずダメでしたが、それでも100%リバースだった頃よりは改善されていたような気がします。そして数年後、ランサーの老朽化により、黒のマツダファミリア(中古車)に乗り替えます。やっとパワステ装備でハンドルの取り回しが楽々になった!なんて父は感動していましたね。この車はのちに自ら初めて運転した思い出の車になるのですが、それはまた今度…。

そして、高校生になり、また別の車の空間を味わう事になったのです。それは、最初の彼氏の車。付き合ってから購入した、ワインレッドのトヨタカローラレビン。ガンダムシャア・アズナブルが好きだった、7歳年上の彼らしいカラーチョイス。クーペタイプの車はセダンと違いちょっと不便に思えたけど、フォルムがすごく気に入ってて。スポーツカーまで手が伸ばせない、当時の彼。でも、車も彼も最高に好きだった。バイトの時間によっては高校まで車で迎えに来てくれていた。手馴れた所作で、綺麗に掃除された助手席に乗り込む。そこは、私だけが入ることを許された空間。BGMはたいていB'zかTMN。他愛もない話をしながら、または一緒に歌いながら、行く当てもなくドライブする。ただそれだけで、幸せだったあの頃。

いつしか車の中と言うのは、ただの空間ではないと思い始めていた。その持ち主の心を映し、持ち主ごと包み込み、最高のシチュエーションを提供する空間じゃないかと思い始めていて。それはただ楽しいことだけじゃなくて。持ち主の喜びも悲しみも嬉しさも寂しさも一緒に共有してくれるような存在だと思ってて。

そして自分が運転免許証を取り、就職して自分の車を持ち始めた時には、その思いはより強いものとなっていた。

慣れた手つきでキーを開ける、ドアを開ける、運転席に沈み込む。この所作が、まるで私自身が持って生まれた本能だったかのように、自分の中に染み付いてしまっている。エンジンをかける。それぞれの車によって、そして季節によって、微妙に違う音と響きを五感で感じる。そして、お気に入りの曲が鳴り始めるカーオーディオ。すべてが自分好みの空間に仕上がっている。最高にくつろげる空間。運転してあちこちの景色を見るのも大好きだけど、運転せずにじっと運転席に座っているだけでもなんだか心が落ち着いてくる。私の愛車は私を無条件に受け入れ、そして愛してくれている。私はよく愛車に話しかける。それは最初に白のトヨタヴィッツを購入した時からずっと。「びびの助、今日はどこ行こうかぁ?」とか、「きゅー太郎、今日は道が混んでるね。」とか、「セレ次郎さん、今日は久しぶりの遠出だからよろしくね。」とか、「くろたんたん、今日は仕事疲れたよー。さあ、幼稚園のお迎えだね」とか。他人から見たら頭おかしいヤツと思われても構わない。私にとっては本当に言葉通りの「相棒」なのだから。

それには、理由がある。

そう、十数年前、人生で一番ヘビーだったと言っても過言ではないこと…すなわち、突然の姉との別れに直面した時。一番そばにいたのは親でもない、当時付き合っていた人でもない、紛れもく愛車のキュー太郎だった。キュー太郎は何も言わない。…車だから当たり前なんだけど。姉の思い出の品を少々積み、自宅に戻らなくてはならない時。一人では正気を保つことが到底出来ないだろうと思っていた。車内でうっかり姉との思い出の曲を聞いてしまう。歌ってごまかそうとするが、涙で前なんて全く見えない。泣き声交じりの歌声はやがて嗚咽に変わってゆく。その時、何となくキュー太郎が「そばにいるよ」と言っているような気がしていて。ギリギリで踏みとどまり、歯を食いしばる。他の人には理解出来だろうと思うが、運転席の私は確かに守られていたような、そんな気さえする。私にとっての「HERO」は、キュー太郎だったに違いない、今でもそう思う。そうして困難を共に乗り越えたキュー太郎とは、一番長く連れ添う事となった。紛れもなく最高に愛した愛車だった。

 

だからこそ、車内と言うのはただの空間ではなくて。私だけのための、最高のパーソナルスペースだと思っている。私を丸ごと受け入れて、いつでも温かく待っていてくれている。楽しい時は楽しく、悲しい時はそっと寄り添い、ぼんやり考え事をする時は見守ってくれている。だからこそ、なんとなくあれこれ理由をつけてはドライブをしてしまうんだろうと思っている。多忙だし、弱音を吐くことの出来ない私を唯一包み込んでくれる場所なのだ。ひとりカラオケも出来るしね。

 

そして、自分の車の運転席だけではなく、他の人の車の中も好きなのである。…とは言え誰彼構わず好きなわけでは無い。そう、私は元来車酔いする性質なので、あまり慣れない緊張する相手の車は敬遠してしまう。酔ってしまうから。逆に言うと「助手席が心地よい相手」が自分の中で信頼できる、親しい人と言う基準になるのかもしれない。

初めて助手席に案内される時。緊張しながらそっとドアを開ける。目の前の車内空間から人となりをふと感じる。遠慮がちに助手席に座る。運転席の相手の方との距離感。ちょっとした緊張と、ドキドキと。相手の方のカーオーディオの選曲が気になったり、話題にも心弾んだり。そう、助手席では相手の方が作る空気感が車内の雰囲気を作るのだ。そして、時々お邪魔させてもらうその空間も、たまらなく心地よいものに感じる。

 

そして、今の相棒であるタントカスタムのくろたんたん。小柄で控えめそうな子だけれども、その温和な空気感はわが子達も気に入っている。「くろたんたんって、なんだか落ち着くね。」と。子供達にもこの気持ちが伝わってくれて嬉しい。

やっぱり、私の好きな場所は圧倒的に「車の中」だなぁ。