こずえさんのブログだよ。全員集合!

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sad but sweet(③)

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この記事は、妄想で作り上げたフィクションです。

この話はこの記事の続編です。

kozuechan.hatenadiary.jp

 

第1話はこちら。通し番号付けました。

kozuechan.hatenadiary.jp

 

 

身体の痛みで目が覚めた。当然だ。ネットカフェの椅子で一晩寝てしまったのだ。スマホの時刻を見る。朝の7時半。とりあえず、冷静になろう。衝動的にスウェットで出てきてしまったが、この格好ではどこにも行けない。そうだ。彼は朝弱いから、今なら会わずに服を着替えに帰れるかもしれない。そうと決めると、慌ててネットカフェを出て、自宅に戻った。なるべく音が出ないように、そっとカギを開け、ドアを開ける。

・・・

物音がしない。どうやら寝ているようだ。少し安堵して着替え始める。着替え終わり、玄関へ向かおうとしていた時。

「みさき?」彼の声がして、ビクッとなる。

「帰って来たのか…。あ…えっと…、昨日はごめん…。」

珍しく彼が謝ってきた。しかし私の心の中は昨夜の事を思い出し、硬直したままだった。そして家を出ようとする私の腕を掴んだ。

「どこ行くんだよ・・・。」語調に力は無かった。

「しょうくん…。多分…私たちもう駄目だと思う…。」

「えっ…?他に好きな男が出来たのか?」その言葉に一瞬頭を一瞬かすめる人がいたが、かき消した。違う。あの人は好きな人とは言えない。

「い…居ないよそんな人っ。そんなんじゃなくて。仕事の事とか、色んな事とか、言えなかったけど…なんかしんどくなってきて。…ごめん。」

「今から変わるから…仕事もどうにかするし。考え直してくれよ…。」

「とりあえず、すぐには出て行けとは言わないけど、私の気持ちが変わらなかったら、ここから出て行って欲しい。それまでは、なるべくそっとしておいて欲しい…。」

「わかった。ありがとう。俺、変わるから。」

いつもなら嬉しかった言葉。でも、不思議なことに今の私には全く響かなかった。まるで、何かのスイッチが切り替わったかのように、彼への思いが冷めていくのが明確に解った。それでも、決定的に突き放せない自分の甘さにも嫌気がさし、無言で自宅を出た。

 

今日は土曜日と言うのに、何の予定も無ければ行くあてもない。とりあえず駅前のドトールで朝食をとることに事にした。モーニングのサンドをぼんやりと頬張る。温かいコーヒーに少し心が休まる気がした。食べ終わり、スマホで彼のインスタをチェックする。更新は無かった。

まだ、予定は決まらない。仕方ないので朝一の映画館へ行くことにした。何の映画でも良かった、ただ時間つぶしが出来れば。

 

今一番人気の若手俳優たちが出演している、マンガをモチーフにした邦画。その予定調和のような三角関係、そしてどんでん返しのハッピーエンド。今の私にはキャラメルフレーバーのポップコーンのように胸焼けのするような内容だった。上映が終わり、外に出る。そろそろランチの時間帯だったが、全く空腹感は無かった。なんとなく、インスタを見る。あの人の更新がされていた。

 

オシャレなランチの写真。店名がハッシュタグで書かれている。

…このお店、知ってる。ここから徒歩5分くらいにある。一気に心拍数が上がってくる。この店に行けば、今あの人がいる。常軌を逸した行動だと思った。

でも。

それでも会いたかった。一目、姿を見たかった。

息を切らしながら、お店にたどり着いた。カジュアルなイタリアンのお店。外からそっと店内を覗く。

あの人がいた。横顔がちらりと見える。息が止まりそうなほど、胸が高鳴る。

 

…その横には。

幼い女の子と、オシャレで落ち着いた感じの女性が座っていた。楽しそうに談笑している。

そうだ。そう言う事なのだ。

こう言う事になるとわかっていたのに。わかっていたのに、どうしてこんなにも胸が締め付けられるんだろうか。

私の脳内の血の気と言う血の気は全て抜けてしまったような感覚に襲われ、しばらく動けなかった。