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REASONLESS(4)

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この話は、妄想で作り上げたフィクションです。

この記事は、この話の続きです。

 

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「一家団欒」。これほどよく似合うシーンもないのじゃないかってくらいの、絵に描いたような幸せそうなあの人と家族を見た私。

わかっていた。いつかこういう事態に直面することもわかっていたはずなのに。

こんなにも完膚なきまでに見せつけられるなんて。

血の気の引いた私は立ち尽くしたまま、そこから動けなかった。

そして悲しいのに、悲しくて悲しくて仕方ないのに、それでもあの人は素敵だった。

どのくらい経ったのかはわからないが、ようやく重い足取りで歩きだした。ふらふらと、どこに歩いていくのかもわからない。スクランブル交差点の長い長い信号待ちで、ふと思いつき、スマホを取り出す。LINEを立ち上げ、あの人の名前を探す。ブロックしようと思ったが、手が止まる。…まだ未練があるのか。惨めな私。

 

その後どう歩いたのかはわからないが、いつもの駅から数駅離れた、とある下町の駅にたどり着いていた。まだ日も暮れないうちから飲み屋街には人が大勢いるような、雑多な街。吸い寄せられるように、ごちゃごちゃとした立ち飲み屋に入る。

もう、どうでもいい。飲まないとやっていられない。

・・・

生まれて初めての「昼呑み」をして、日が暮れ始めた頃。

そうして、酔いが回りだんだん暗い気分が少し晴れてきたころ、とある男に声をかけられた。

「あっ・・・。あなたいつも〇〇ってBarで飲んでるお姉さんじゃないですか?」

振り返り、その男を見る。…見るからに若い。カジュアルな格好だし、顔を見ても大学生くらいにしか見えない。あからさまにいぶかしげな顔をしてしまった。

「えぇ、確かにけっこう行ってましたが、あなたは…?」

「僕もあのBarにけっこう通ってたんですが、いつも一人で飲んでるあなたを見かけてまして…。で、今日は偶然ここで見かけたので、つい…」

新手のナンパだろうか。それにしても何故こんな年上の私を誘おうとするのだろう。酔った頭で考えれば考えるほど、ますます混乱してきた。

「…で、見るからにあなたより年上のオバサンに、何の用事?」不機嫌そうにストレートに聞いてしまった。

「オバサンだなんてそんな…。素敵だなぁと思ってたから、いつか一緒に飲んでみたくて。」

素敵、と言う言葉に少し揺れそうになったが、すぐに警戒心が上回る。でも…。

「飲むだけなら、いいけど…。今日はちょっと嫌なことがあったし…。」

言ってから、なんで初対面の、しかも年下の男の子にこんな事言ってしまったんだろう、と自分でもおかしく思った。そしてこう付け足した。

「多分、あなたよりかなり年上だけど、いいの?」

すると、柔らかな笑顔で隣に来て、生ビールを注文した後に言った。

「ありがとうございます。でも、年齢なんて気にしてないですよ。」

さっきまではあんなに傷ついていたのに、不思議なものでだんだんと心が軽くなっていく。これは、お酒のせいなのか、それとも現実の嫌なことを忘れてしまいたいからなのか。

彼の名前はゆうま君と言って、私よりも7歳年下の大学4年生だった。もっとチャラいのかなぁと心配していたのだが、思ったよりもしっかりとした考えを持った学生だった。今日見た映画の話、スポーツの話、多趣味で会話に飽きなかった。数時間前、絶望的な気分だったのに、もうこんなに笑えている自分が滑稽で、なんて軽い女なんだろうとも思った。でも、それでもいいと思った。

 

そして、一軒目の店を出たあと。

「あぁ~、まだ飲みたい気もするけど、僕もう眠いですよ。ふふっ。」

「そうなの?どうする?もう帰ろうか?」

「うーん、僕眠いから・・・ホテルに行きません?」

その言葉に、さすがに酔った頭でも急に衝撃が走った。返答に困り、沈黙していると、

「やっぱり、無理ですよね。すみません、変なこと言って。」

そう言われたからではないのだが、自分の中で何かが弾けてしまったような感覚があった。そして、こう答えた。

「・・・・別に・・・いいけど。」

 

そして、私たちはホテルへと向かっていった。

 

続く

 

 

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