こずえさんのブログだよ。全員集合!

ひたすら無益。くすっと笑ってもらえたら幸いです。

スポンサーリンク

In Fact(5)

f:id:aimyptaofficer:20190612235000j:plain

この話は、妄想で作り上げたフィクションです。

この記事は、この話の続きです。

kozuechan.hatenadiary.jp

 

勢いでその日あった年下の男の子とホテルに来てしまった。

お互い言葉も交わさず、部屋に入る。そして、私は落ち着かない気持ちを抑えつつ、ソファに遠慮がちに座り買っていたお茶を一口飲んだ。彼の方はと言うと、緊張もしていない様子で対面のソファに座り、靴下を脱いだ。…なにリラックスしようとしてるのかな…なんて思っていると、おもむろに立ってバスルームの方に歩いて行った。そしてすぐに戻ってきた。…どうやら足を洗ったようだ。いちいち一挙手一投足が気になってしまう。そして、彼はベッドに横たわった。

しばらく様子を見た。しかし、何も進展はない。

そっと顔を覗き込んだ。

・・・

本当に寝ている。

確かに眠いとは言っていたが、まさか本当に寝るとは。

いや、ちょっと寝たら起きて何かあるかもしれない。

よくわからないが、私はシャワーを浴びておくことにした。必要以上に丁寧に洗い、バスルームから出ると、もうすっかりと酔いは醒めてしまった。彼はと言うと、やはり寝ている。私は完全に放置されている。

これは安心するのが正解なのか、それとも女性としてショックを受けるのが正解なのか、もう訳が分からなくなってしまった。

彼は本気寝な上に、端の方で寝返りを打とうとするので、つい声をかけてしまった。

「ねぇねぇ、ゆうま君、落ちちゃうよ、こっちにおいでよ。」彼は寝返りのように真ん中の方へと転がってくる。私もとりあえずベッドの上に横たわる。

 

わずか10センチの距離。

こんなの、何も起こらないわけがない。

そう思っているのに、何も起こらない。

薄暗い照明の中、エアコンの運転音だけが響き、彼の寝息まではっきりと聞こえるような静寂の世界。

彼の顔ばかりを覗き込んでいるのも変なので、手持ちぶさたにスマホをいじる。インスタを開くと、否応なくあの人の投稿がTLに流れてくる。あのあと、どうすごしたか、知りたくもない情報が目に飛び込んでこようとする。私はインスタをすぐに閉じた。

あとはLINEも開いてみたが、特に通知は無かった。

 

明日は休日だし、このまま寝てしまうのもいいかなぁ。

身体はやや緊張したまま、彼のそばで目を閉じる。

一瞬、ウトウトしていたのか、気が付くと彼の腕が私の上に乗っていた。しかし彼は熟睡だった。自然と密着する。彼からはほんのりコロンのような香りがした。嫌味のない、控えめな香り。

今日一日話しただけの彼。でも、不思議と警戒心はあまりなかった。「気が合う」とかもしくは「運命」なんて陳腐なことは言いたくないのだが、不思議な関係だなあと思っていた。ダメ彼が居ることも話してしまった。でも、特に否定も肯定もされなかった。普通、下心があれば「早く別れなよ」とか言いそうなのに、それも言わず。年下なのに、飄々として掴みどころのない、私の方がもしかしたら翻弄されているのかもしれない。現に、今気になってしまっているのだ。それもまた悔しいが、私はそんなに器用な人間でもなく、まだ色々な感情を引きずっているのに、おいそれとこの彼に乗りかえようなんてことは思えなかった。

でも、一緒にいて安心するような、不思議な空気感に癒されている自分がいた。

そして。

そっと腕を彼の背中に回してみる。そっとそっと、くっついてみた。

思ったよりも大きくてがっしりした背中。

そのまま、軽いコロンの香りに包まれたまま、目を閉じた。

 

 

そして、そのまま二人は熟睡したまま朝を迎えることになってしまった。

 

続く。